トライアスロン初心者が3か月でアイアンマンマレーシア完走を目指す! 体験記② スイムパート
スイムパート
ゲートがある。
5人一組で、それぞれのゲートに並びどんどん詰めていく。
おそらく感覚としては5~6秒か。
テンポの良い具合にどんどんスタートしていく。
あと、3列、2列、1列。笛がなる。
僕はゲートを飛び出し、数秒前に出た選手の背中を追う。
ランカウイの海が身体に染み込むのを感じる。足の着くところまで走り、砂を蹴り、いよいよスイムパートの始まりだ。
今回のIRONMAN MALAYSIA。
完走しか考えていなかった。
頭の中にあったのは「完走」のみ。
スイムパートなんかでリタイアするわけにはいかなかった。3ヶ月やってきて、現地にまで友達が来てくれていて、まだ当日会ってもいないのにリタイアなどしてたまるかと。
だからこそ、順位やタイムはこの時点では全く気にしていなかった。
スイムに関しても2時間かからなければいいかなと。
最初の1周目は飛ばさない。
スイムでいかに体力を消耗しないか。
いかに泳ぎ切るかを念頭に置き、ゆっくりゆっくり手足を動かし進んでいく。
感触はいい。
ウェットスーツ着用は禁止なのだが、やはり海というせいか身体が浮いて泳ぎやすい。水温も心地よく、波もない。
またランカウイのスイムコースはトライアングル型に2周するのだが、コーナーにはIMの大きなブイ、またそれ以外にも小さな部位が数十メートル間隔で右側に浮かんでおり、コースを外れることはまずない。
右側で呼吸をする選手ならば、ヘッドアップをさほどせずともコースを確認しながら進める。
1周目。
400m、700m、800mの三角形。最初の400m、700mは様子を見る。
ブイ側に陣地をとって、少し遅めのペースの選手についていく。
この時点で体力の消耗は大してない。
ただそれでもランカウイで感じたのは平泳ぎの選手が多いということ。
もちろん悪意があるわけではないし、完走したい気持ちはみんな一緒だから応援はしたいがたまったもんじゃない。
それにみんな必死だから足の蹴りも必然に強くなる。こんなの食らってたまるかと、前方も確認しながらクロールで抜いていく。
それでも平泳ぎに挟まれることがあったりして、そんな時は指を丸め、握りこぶしを作り、顔の前でガードを作る。
下手して指なんかやってしまったらバイクパートにも影響が出かねない。
そんなことに気を払いながら1周目、最後の直線800m。
まだペースを上げない。1周目というものを体感するかのように、じっくり泳ぐ。
そしてやっと1周目1900mを終え、一度砂浜に上がる。
観客の方を眺めたがまだ知り合いの姿はない。
ふう、もう一周してこいということか。砂浜の補給地点で水をがぶ飲みする。
そして2周目。
1周目で感覚は掴んだし、長いだけで2周目も泳ぎ切る自信があった。
この時には、周りの人の帽子がオレンジから紫へと変わる。
つまり僕らのオレンジのエイジグループの1つ前の帽子の集団に追いついたということだ。
少し嬉しくなって、ペースを少し上げる。
400mを泳ぎきり、最初のコーナー。
ランカウイのスイムパートは時計回りである。
コーナーの最短を位置どり、くるっと。
特にコーナー地点では平泳ぎの選手が大量発生しているので、気を配りながら。
長い直線の700mでもペースを保ち、紫の後半の選手を抜かしていく。
なかなかいい調子だ。最後の800m、少し海水を飲み込むが、なんとか乗り切って、泳ぐ。
砂浜まで残り50mほど。ラストスパートはかけずに息を整えつつ、砂浜に上がる。
「齊藤さあああん」と亮介の声が聞こえる。
おお、応援が来た。やはり応援は本当に元気をもらえるし、めちゃめちゃありがたい。
応援に来てくれた友人たちと軽く抱擁を交わし、僕の番号と追跡ができることを伝え、バイクのトランジションエリアへ。
3.8km Time 1:22:47(1時間22分47秒)
これは後から知ったのだが、僕の自己予測タイムは1時間45分から50分であったので、個人的にはびっくりするタイムが出た。
やはりランカウイの海はなかなか泳ぎやすいのかもしれない。
余談なのだが、スイムパート中、本当に尿意と戦っていた。
泳ぎながら小を足す選手も多いのだが、僕は足がついていないとどうも力が入らない。1周目2周目合わせて20回は試みたがすべて失敗に終わったため、結局バイクパートの最初のエイドで足すことになる。
さて、いよいよバイクトランジションエリアへ。そして180kmのランカウイ2周の長旅へと出発の時だ。
バイクパートへつゞく。